時系列順にするとかなり後の方。
なのでちょっとだけ成長したような気がするルシエル。あくまでも気がする0歳児。
そしてまだ(今の時点で)書いてない某所の兄達がちょろっと。
それは夢で誘われたつかの間の邂逅。
他愛の無い話だけで僅かな時間が過ぎて行く。
ふと、気付いたように相手の二人が顔を見合わせて頷いた。
「なぁルシ、知ってるか?」
「来週の―――」
それを聞いたおれは、目を丸くして。
「…色々教えてくださいお願いします」
土下座する勢いで頭を下げた。
だってわっかねーもんマジで!!
あ、笑うなそこ!って今鼻で笑った!?ひっでぇぇぇっ!!
++++++
準備万端。ジェイドとも打ち合わせ済み、っつか現在隣歩いてる。ペールともきちんと話した。
大丈夫。落ち着け。落ち着けおれ。
「何をそこまで気負う必要があるんですか」
「だ、だってっ、おれっ、こういうの初めてでっ、なんつーか、なんつーか…あぁぁぁぁぁぁ」
「道のど真ん中で頭を抱えて蹲るのは止めなさい」
だって、なぁ、わかってくれよジェイドっ、父上っ。
この不安だけど期待しててでも不安で楽しみで不安で…。
挙動不審にならずとしてなんとするっ!!
「落ち着きなさい」
べしっと頭を叩かれた。痛くない程度の衝撃。
やっぱジェイドは優しいな。
(なんて言うと軍部の人らが顔色を変えるのは何でだろ…)
「貴方が一生懸命考えたんです、それを無下にするような人物では無いでしょう?」
そしてそれは決して嬉しくないわけではない。
―――うん。
「わかってる」
そんなのわかってる、頭では。
でも不安になるんだよな、どうしても。心がどきどきしてぎゅーっとなる。
ああ、人間ってホント複雑だよなー。
「で――いい加減屋敷に入る決心は付きましたか?」
もう半刻程屋敷前の不審人物と化してますが。
うんおれもそろそろ怪しまれるんじゃないかと思ってたんだ。一応自宅なのに。
ああ、巡回の兵士の視線が痛い…側に居る死霊使いの姿に速攻で逃げてくけどさっ。
すー、はー。
深呼吸して。
べしっと頬を叩いて気合を入れる。
「よっしゃ行くぜ父上っ!」
「何か間違ってる気がしますが…行きますか」
玄関に向けて突撃するおれの後ろをゆっくりとジェイドが追いかけてくる。
「母上――っ!!」
リビングの扉を勢いよく開け放って、ソファに座ってくつろいでいた母上――ガイに飛びついた。
いきなりの事だったけど、ちゃんと受け止めてくれて抱き返してくれる。
「おかえりルシ、どうしたんだ?」
優しい微笑みで問いかけてくる。
やれやれ、といった感じのジェイドが続いてリビングへ入ってきて「旦那もおかえり」なんて声をかけているガイににへらと笑んで。
「誕生日、おめでとっ」
「来週の―――48日はガイの誕生日だ。多少なら相談に乗ってやらん事も無いが」
「でも俺達が知ってる事もほんの少しだけどな…それでいいなら教えるよ」
「地雷もな」
「…あー、それ、は…」
おれの言葉に、ガイは一瞬目を見開いて、それから、嬉しいような悲しいような、そんな笑みでおれの頭をくしゃくしゃ撫でてきた。
あ、う、やっぱ、やっぱ嫌だった?嫌だったか?聞いてた地雷踏んだか?ど、ど、ど、どうし
「大丈夫、ちゃんと嬉しいよ」
ホントか?嘘付いてないよなっ??
「ああ、ちょっとびっくりしただけさ――ありがとう」
撫でられて、安心する。自然と顔が緩むのがわかった。
「声に出てないのに顔で丸わかりですねぇ」
とかいうジェイドのセリフはスルーだスルーっ!!
ってちょ、うわ、まとめて抱きしめるな母上にキスするなおれが恥ずかしいだろーが!
その後、勢いでお祝いの言葉だけ先走った所為で渡しそびれたプレゼントを渡した。
おれからは音が出る音機関。小さい箱で綺麗な音がするんだ。
多少目の色が変わってたけど純粋に喜んでくれてよかった。うん。
ジェイドからは―――こそこそと秘密にされた。多分装飾品の類だとおれは睨んでる。確実にお揃いの。
陛下曰く、普段はそっけなくて淡白に見えるけどそういう部分は異常に初々しいらしい。よくわかんねーけど。
ただ母上が本当に嬉しそうだったからよしとする。
それ以外はさしあたって特別な事は無し。普通に夕食――皆の好物が満遍なく入ってた程度。
後は――三人一緒で寝た、くらい?うん、それだけだなっ。
それだけですっげぇ幸せだなーって思えた。
(ガイ誕なのにガイが少なっ…!!orz)
(後地雷は本当に当たり障りの無い程度しか教えてません、そこまで酷じゃない)
(この辺りでそろそろ"記憶の知識"ですらなくただの"知識"になりつつあるので言われないと気付かなかったりします)
PR