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2024/05/01 15:26 |
バチカル日和
本編前バチカル編。

逆行アッシュが"アスライト・レヴァード"と名乗ってバチカルに潜入中。
外見17歳固定。何故か不思議に思われないローレライパワー付き。
気が付いたらクリムゾンパパに気に入られてルーク付きの護衛になってました。

後逆行ガイが居ます。
普通に正しく使用人兼世話役兼教育係兼護衛。
ルシエルと暮らすうちに教育に多少心得が出来た彼は逆行してからさらに教育面で成長したのでした。







まさかこうなるとは思わなかった。

そんな事をしみじみと思いながらアスライト・レヴァード――前世(?)の名はアッシュ。しかし半身に譲ったとはいえ本来の名ははルーク・フォン・ファブレ――は、目の前で繰り広げられる光景を眺めていた。

「っだぁぁぁっ、わっかんねぇぇぇっ!…これどうなってんだ?」
「それ暫く前に詰まってた奴の応用だろ?その時に教えたから絶対解る筈だ、諦めるな」
「あー、あー、あー……ヒントっ」
「ダメ」
「ケチっ!」
「ケチで結構、お前の為だ」
「あーあーあーあーあー…」

難しい顔をしてぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜ、机に突っ伏し唸る朱金の髪の少年――ルーク――と、そんな様子のルークに苦笑しながらもほらほらがんばれ、と軽く肩を叩いてやっている金髪の少年――ガイ――の姿。そしてそれを同室――ルークの部屋――で今現在は形だけとはいえ"護衛として"見守っている自分。

"以前"の事を抜きにして、こんなにあっさりファブレ家に潜り込めるとは――しかもファブレ公爵直々のお墨付き――思いも寄らなかった。いや本当に。

しかも公爵子息…ルークの絶対の信頼まで勝ち取ってしまったのだから驚きだ。
そしてその過程が僅か三回の出来事だった事にさらに驚きだ。

まず一回目。とりあえずキムラスカに仕官でもして地道に…と思っていたが、志願の時期を見事に外してしまったらしく危うく最初から挫折しかけた。
が、何もしないのも手持ち無沙汰だったんでベルケンドの様子でも見てみるか、と思い立ち出かけたまではよかった。
何故かベルケンドが魔物の群れに襲われていた。
慌ててぶっ飛ばして怪我人にファーストエイド(ローレライがおまけしてくれたらしい)をかけてまわってたら、偶然にも父上――ファブレ公爵と遭遇。感謝されてしまった(ローレライの外見誤魔化し術は便利だと実感したのは言うまでも無い)
名を名乗って別れ、その時はそこまでだった。

二回目。まだ時間があるようで闘技場にでも行くべきか…と悩んだが、いっそ此方に来ているらしいガイと接触でも図ってみるかと思い立ち、だがどうやって接触すべきかと悩みながらファブレ邸を視界に納めた時まではよかった。
何故怪しげな連中の襲撃を受けてるんだ門前の白光騎士っ。
慌てて助太刀してさっくり賊を片付けた後(殺してない。ふんじばった)白光騎士にファーストエイドをかけてやった。
…なんでこんなにデンジャラスなんだこの時期のキムラスカ。俺の記憶にはそんなの全く無…って俺この時期ダアトで監禁だったな。っつーか今レプリカが屋敷に居るんじゃねぇのかっ!?
そんな事を脳内で叫びつつ、表面には全く出さずに白光騎士に中は大丈夫なのかと訊ねたところで、他の騎士が数名やってきた。中に入ったのは片付いたらしい。
危うく俺まで賊扱いされそうになったが、助けた白光騎士の証言で事なきをえた。
しかし立ち去ろうとしたところをファブレ公爵直々に呼び止められてしまった。有り得ねぇ。
流石に今回は逃げる事も出来ずに屋敷に招かれ―――何故か護衛として雇われる事になった。
待て、それでいいのか、俺の身分なんて無いも同然なんだがっ!?(証言だけならどっかの眼鏡がやってくれるだろうが)
とにかく、色々ツッコミたい所はあるものの二回目の接触にしてファブレ公爵家に潜入する事には成功した。

三回目。無事ガイとの接触に成功し、協力体制を取る事に。
未だ赤ん坊も同然な『ルーク』専属の護衛になれたのも、ガイの口添えがあってこそだった。
『自分ひとりだけでは不安がある。年齢も近いし年上でもあるから一緒にいてくれるだけでも心強い』とか、そういう感じの事を訴えたらしい。実際には奴の方が年上なんだが…今の外見では俺の方が年上だ。ガイを見下ろす視点は中々新鮮だったな(過去形なのには目をつぶれ。理解しろ。くそっ)
そこまでこぎ付けた後はゆっくりとルークの教育だった。
流石というか、ガイは二回目だからそれなりに手馴れ扱い慣れているし、今回は"理解している"。
だからこそ根気良く、育てることが出来た。と言っても、俺はあくまでも護衛の身分だから他の使用人やメイド連中の目が無い時だけ、手伝う程度だったが。勉強も作法も、殆どガイが教えてのけた。
その姿を見ていると、ルシがガイを母上と慕っていたのにも頷けた。

そして3年が過ぎた頃だっただろうか。アレがやってきた。
そう、髭だ。
剣技なんざ俺が教えるだけで事足りるのに態々剣の師匠となるべくやってきやがったのだこの髭は。
やたら爽やかなスマイルの髭を前に俺はこう言い放った。

「ルーク様には僭越ながら私が剣を稽古を付けさせてもらってます。今更新たに師が付く事には賛成致しかねません、混乱してしまわれるでしょう。しかし貴方様のお気持ちを無碍にはしたく無い…ですから、私と一つ勝負をしていただきたい。私が勝てばこのままルーク様の剣は私が教えます。貴方が勝てば…私は身を引きましょう」

と―――いや、この数年で身に染み付いたというか、ガイに叩き込まれたというか。

で、乗ってきた髭と一騎打ちしたわけだが――まあ、当然ながら俺の勝ち。この頃のヴァン大した事ねーな。
悔しさと驚きの混じった髭を鼻で笑いつつ、ルークの剣の師は俺で続行が決定。立会人がガイとルークだったから言い逃れ出来ねぇ。

――が、諦めきれない髭は外の事を聞かせるというのを名目に度々ルークへと会いに来やがった。
だが一騎打ちをまるっと全部見ていたルークは既に俺へと絶対の信頼を向け、尊敬している。
外の事に関してもガイが知りうる限り(それこそ"以前"の旅で知った事も)を聞かせてたから、その辺もガイへと軍配が上がる。
テメェの入る隙なんざねぇんだよ、髭がっ。

それでもめげずにやってくる髭には恐れ入った。どうせだから、とガイがスパイの真似事なんぞをやってたりする。しかも言い出したのはガイだ。やけに爽やかな笑顔だったのが印象に残っている。

――と、こういった出来事を経て俺は、ガイは、ルークの側に居る。


現在ルークは15歳――時が来るまで、後二年。
最初から無理難題を押し付けず、ゆっくりと基礎から勉強したルークの知識の吸収欲は留まるところを知らない。
そろそろ俺が教えられる事も無くなってきた、とガイが苦笑しながらも誇らしげに言っていた。
だが家庭教師を付けるつもりは無い。ルークが知りたい事はルークが自分で調べて勉強する、という方針だったからだ。この好奇心を消してはならない。
剣に関してもどんどんと技術を吸収していく。時が来る頃にはどこまで成長しているかが楽しみだ。

――これが親心か。俺もガイの事を馬鹿にできねぇな…。

そうひとりごち、視線を上げると丁度ルークが「よっしゃ終わったぁぁぁっ」と、伸びをしているところだった。
本日のノルマ、達成らしい。

「よく頑張ったなルーク」

えらいぞー、と笑いながらガイがルークの頭を撫でると「ばっ、子供扱いすんじゃねーよっ」と拗ねるルーク。
それに思わず笑みを漏らす。

"以前"の自分には知ることが出来なかった光景。
この光景を大切に思う。

ダアトに居る半身も似たような思いを抱く事があるのだろうか、とふと思った。

最近あった連絡によると、被験者イオンをグランコクマまで逃がしたり。シンクを助けたりしたそうだ。
これから賑やかになりそうっ!と弾んだ声だったのを思い出す。
大丈夫だろう、アイツは。

「茶でも入れて休憩するか」

以前の自分では考えられない程、穏やかな気持ちで笑いながら主人と同僚に声を掛けた。


たとえ過酷な未来が待ち受けようとも、今この瞬間を取り巻く世界だけはまだ、平和だった。










(色々有りえぬぇー体験を経て無事に現在の地位を獲得した逆行アッシュ。性格が偽者?ははは仕様です。
"家族"~のアッシュはツンデレ兄気質。逆行後の割とツッコミ放題な出来事にすっかりふっきれはっちゃけ現在の穏やかさとデレ全面に出た感じになってます。が、ヴァンには辛辣です。それは仕様。
 同じく"家族"~のガイは世話妬き母さん。本編中からルークとアッシュを親心満載で見守ってたタチなのでアスとの関係は良好ですよ。
 
 このルークは公爵とも夫人とも仲良しです。二人ともレプリカであると知ってます。アッシュの事も。
 ルークはまだ知らない。16になった時or自分でレプリカだと知った時にアッシュのことも秘預言全部包み隠さず教えよう、とガイとアスで決めてます。

 秘預言をいつ公爵とかにぶちまけようかなー、というのが目下の悩みだったりする二人。ホントいつだろう。

 ルークの好感度
  ガイ=アス>シュザンヌ様>ペール>クリムゾン氏>>>>(越えられない壁)>>>ヴァン)
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2008/06/04 00:46 | Comments(0) |

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