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2024/05/01 13:02 |
某特務師団長の転機
一を聞いて~、本編前。
ガイ&ナタリアがルーク至上主義で裏で暗躍中。


奴らはこんな芸当まで出来るようになった模様です。
苦労人一名追加。










ある日、部屋に戻ると机の上に手紙が一通無造作に置かれていた。
不思議に思いながら封を切り内容を確認し―――丸めてゴミ箱へと投下した。
何だ『裏通りにて待つ』って、どんな冗談だ。ざけんな。

翌日、部屋に戻ると机の上に手紙が一通無造作に以下略。
まさかと思いながら封を切り内容を確認―――した後、丸めてゴミ箱へ以下略。
ざけんな。誰だこんな手紙置いていったのは。

さらに翌日、部屋に戻ると以下略。
今度は見ないでそのままゴミ箱へ投下した。

さらにさらに翌日、部屋に戻ると――――とてもいい笑顔をした金髪の青年が待ち構えていた。





「―――っ!!??」
「おっと、騒がないでくださいよ」

あまりにも予想出来ない光景に数秒放心し、やっと頭が回転し剣を抜こうとしたところへ逆に剣を突きつけられた。動けない。
舌打ちを一つしつつ、剣の柄からは手を離さず青年を睨みつける。

……何だ、見覚えがある気がする。
誰だ、誰だ、ダアトでは会った事が無い。と、いうことはダアトに来る前という事になる。いやそれは有り得な――

「貴方に伝言を預かってきているんですよ、アッシュ――いや"ルーク様"?」
「なっ!?」

何故それを、という疑問を口にする前に、目の前の青年(ああ、そういえば屋敷にいた頃の傍仕えだった彼に似ているような)が、ずいと便箋をの鼻先に突きつけてきた。
剣は引いたものの、いいから黙って読めと視線で言ってきている。
舌打ちをしてから便箋に丁寧に書かれている文字へと視線を滑らせた。



『お久しぶりですわねルーク、いえ今はアッシュでしたかしら。お元気ですか?お元気に決まっていますわよね?何せ鮮血のアッシュの噂はこのキムラスカにまで響いておりましてよ?何をふてくされているのかはわかりませんがとっとと帰ってきやが…あらわたくしとした事が、失礼。
とにかく、わたくし達は"貴方"に気付きましたわ。そして"彼"の事にも。最も、一番最初に気付いたのは"彼"だったのですけどね。幼馴染として婚約者として失格ですわ、本当に。
ですがそれとこれとは一切関係ありません。いつまでダアトに居るつもりですの?もしや完全に亡命したわけではないですわよね。そうでなければ何か連絡のひとつやふたつくらいよこしてくださいな。

わたくしは貴方との約束を忘れたことなど、一度もありません。貴方も忘れていない事を信じています。 
 ナタリア』




何度も何度も読み直し、理解し直す。
呆然として、青年――ガイへと顔を向ければ、最初と同じとてもいい笑顔。何故か背後に暗雲が見える気がするがきっと気のせいだ。

「さて、何から説明しようか」

ただし騒いだらオトス。とその笑顔にはでかでかと書かれていた。
この五年間の間にこの幼馴染の使用人に一体何があったというのだろう。少なくともこんな真っ黒なオーラは無かったはずだ。多分…多分……。





俺の居場所を奪った憎むべきレプリカ。
それが俺のレプリカに対する認識。

レプリカは自分がそうであると気付いた時、真っ先にこのガイとナタリアに打ち明けたという。
そしてそれよりも以前に「自分はいらないんだ」と自殺未遂まではかったというのだ。
くだらねぇ、と思いはしたものの口には出せなかった。いや決して目の前の笑顔が怖かったからわけじゃない、決して。

だが、その認識もガイの話しがさらに過去へ遡るにつれて薄れていった。

レプリカは零だった。そこへ何もかもを――『ルーク』を、押し付けられたのだ。
やっと読み書きが出来るようになったばかりの時に元の家庭教師が付けられ、高度な知識を押し込められた。

回りがいい顔をしないからと我侭も言わず全てを受け入れて。
何もかもを"わかって"いるようで全くわかっていない。


「自殺未遂起こしたときにさ…あいつ、こう言ったんだぜ?

 『記憶のない俺なんていらなって"わかった"から、消えようと思った』

ってさ。笑顔でだぜ?あまりにも穏やかに笑うもんだから、思わずなんで笑うんだって言っちまったんだよな…。我ながら馬鹿な事を言ったもんだ、それであいつは笑顔すらいけないものだと"わかって"しまったんだ。
俺は、いや、俺達は間違えてしまったんだ」


苦笑しながら言うガイの目には、確りとした後悔の色が見えていて。

怒るのも泣くのも、全てがいけないものだと思い封じ込めていた。
何が奴を、レプリカをそこまで追い詰めたのか。


ガイが全てを語り終える頃には、俺のレプリカへの憎悪は全く無いとはいえないが随分と薄れてしまっていた。

奴は、ただ傲慢に陽だまりに居座っている存在ではなかった。




「あの時は本当に、本当に後悔しましたわ…彼が、ルークがあんな事をしてしまったのは、わたくしがずっと約束を思い出してと言い続けた結果なのですから…」
「ナタリア、それはもう済んだ事だろう?それにあれがきっかけで今の関係になれたんじゃないか」
「そう、ですわね…ガイ、ありがとうございますわ」
「どういたしまして」



…………。



「ちょっと待て、何故、何時の間に、ナチュラルに増えてんだ!?」

何時の間にやら椅子にちょこんと腰掛け、あまつさえ紅茶のカップを手に微笑む少女が1人増えていた。
しかも、ナタリアだと!?

「あら、気付くのが遅くてよ?ええと、アッシュでよかったかしら。それともルーク、と?」
「アッシュでいい。じゃない、何故ナタリアが此処に…っ!」
「ガイが漸く貴方の部屋を突き止めてくださいましたもの、わたくしもお手紙でなく直接お会いしたかったのですわ。
あ、公務には差し支えありませんからご心配なく。影を代わりに置いてきましたから。
ですけど、初日の手紙に応じていたら間に合いませんでしたわね…こればかりは少し幸運でしたわね」

にっこり、と笑むナタリア。

この五年間に何があったんだナタリア。確かにあの頃から気は強かったがここまでしたたかではなかった気がするぞ…!



混乱の極みにあるアッシュ、彼はまさかこれがこの先続く苦労人人生の始まりだとはこの時知るはずもなかったのだった。












(というわけでアッシュもルーク至上主義側に引き込みましたよあの二人。
 ちなみにガイが休暇と髭を利用してダアトにプチ潜入してアッシュの居場所とか付きとめてナタリアに連絡したりとかしてました。
 2人とも短期間にとてつもなくしたたかに黒くかつ割りと最強気味に成長した模様です。

 そしてアッシュは今後本編開始前までにじわじわとルークに対して歩み寄って、心配性のお兄ちゃん属性開花ですよ。でもってはっちゃけ黒化した2人の静止役(しかし止まらない)でツッコミ役に。
 ジェイドと2人で胃薬が手放せない同盟組みそう(何だそれは) 

 それにしても婚約者同士の再会なのに何だこれは。)

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2008/07/01 21:44 | Comments(0) |

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