「ずぇってぇっっっっっっ!やだっ!!」
「我侭言うなっ」
「だってそれ、嫌いだって知ってるだろーが!」
「それはお前じゃなくてあの二人の話だろう!」
「そんでもいーやーだーっ!!!」
言い争う二人の目の前には野菜たっぷりのシチュー。
当然の如く、そう―――にんじん入り、の。ついでにクリームシチューだから必然的にミルクも入ってる。
「確かにおれは食べた事ねぇけど、でもしかたねーじゃんか!」
魂に刻み込まれた苦手意識(という名の記憶)が邪魔をするんだっ!
そんな叫び。それでもガイは諦めない。
ここぞとばかりにあの赤毛二人組みが苦手だった食材を克服させてやるつもりなのだ。
「…背、伸びないぞ」
ぴく。
「あの二人が微妙に小柄だったのは好き嫌いが激しかったからだ。二人揃って同じ物が苦手だったんだから割と嘘でも無いと思うんだがなぁー」
ぴくぴく。
「20過ぎても背ってのは伸びるもんなんだぞ」
ぴくぴくぴく。
後少し。
「…ルークとアッシュを見下ろしてやろうぜ?」
沈黙。沈黙。沈黙―――そして。
「……食べる」
ガイ―――勝利。
その後涙目になりながら完食したルシエルを満面の笑みで撫でている親馬鹿がいるのだった。
旦那、ルシエルがにんじんを全部食べたんだっ。おや、偉いですねー。という会話が交わされるのはもう少し後。
―――そしてここぞとばかりに食事当番になったルシエルが豆腐づくし料理を作ってガイが引きつるのは数週間後の事だった。
(多分ガイは20→21の間に1cmとか伸びたと思う。流石にそれ以降は伸びなかったとか。
だって迂闊に伸びるとジェイドより高く…っ。流石にジェイドの年齢じゃ成長見込めな…っ(失礼)
ちなみにルシエルは現在173くらいで、ルークとアッシュは音譜帯で永遠の17歳状態=永遠の171。
なのでこれから180の大台に乗ってやるぜ!とかなんとか決意したそうな)