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2024/05/01 08:58 |
家族
実際(外見的に)歳が4つしか離れてないガイじゃあ親子としては微妙なわけで。
(半ばコメディ)



「きょーだい?」

きょとり、と首を傾げるのは金茶の髪をした青年。しかしその表情は幼い子供を思い起こさせる。
さらりと流れるその髪は元はといえば綺麗な赤い色をしていたのだが、赤い髪に緑の瞳を持つのは非常に危険だった。詳細は以下略、である。
それはともかくとして、首を傾げた青年に苦笑を返したのは金髪の青年。

「ああ、俺とルシエルは兄弟になるんだ」
「ガイと?ジェイドは??」
「うーん、旦那はガルディオスじゃなくてカーティスだからなぁ」

むぅ、と俯いて唸る青年――ルシエルをぽむぽむと撫でる青年――ガイ。

「おれ、ガイもジェイドも一緒じゃなきゃやだ」
「いや別に旦那を仲間はずれにしようってわけじゃないぞ?」
「そーなのか?」

俯いていた顔をぱっと上げる。ちょっぴりキラキラ輝いているように見えた。
――ああもう本当にこの子はありえないくらいにかわいいんだけど!!!
そんなガイの心の中の叫び。勿論表は一切出さない完璧な好青年スマイルだ。

「今のルシエルには戸籍が無い状態なんだ、わかるな?」
「あー、うん…おれ、ファブレに行けないもんなぁ」

寧ろ行きたくないもんなぁ、そんな心情。
だっておれはルークでもアッシュでもないもんな!どっちでもない別の人間なんだからキムラスカに戻る理由もなし!!
…爽やかに言い切れる自信がある。

「つまりマルクトで戸籍とって"きせーじじつ"なんだな!!」
「何処でそんな言葉を覚えてきたぁ!?」

お前をそんな子に育てた覚えはっ!
いやおれは育てられてねーし!?

「はいはい落ち着きなさい二人共」
「あ、おかえり旦那」
「ジェイドおかえりー」

書類片手に部屋(ガルディオス邸の一室でありルシエルの私室になる予定)に入ってきたジェイドによって変な漫才(?)は終局。
ふわりとした微笑みで迎えるガイと純粋な笑顔で迎えるルシエル。

「とりあえず陛下にも話を通しましたから提出すれば直ぐに受理されると思いますよ」

二人に微笑みを返しながら書類をテーブルの上へ置く。
それは戸籍の届け用のもの。必要事項を埋めて役所にもっていけば後はおっけーらしい。
普通こんな手軽にいかないだろうが、恐らく最後の方に無造作に押されている印がそうさせるのだろう。
すなわち、陛下直々のお墨付き。

「職権乱用ってすげぇ…」
「真似しちゃだめだからなルシエル」
「そうですよ、あんなダメな大人になってはいけません」

遠い目になるルシエルに苦笑する二人。
二人の手は自然とルシエルの頭へ向かい、優しく撫でる。
へへへ、と幸せそうに笑った。

「えーと、じゃあ、これ使ってガイの弟になるのか?ガイの事兄上って呼ばないとだめ?」
「公の場ではそうなりますね」
「えーと…ってことは、陛下との謁見とか、そういう時?」

むー、と考え込むのは"知識"を引っ張り出す時の癖になりつつある。
ほほえましく思いながら、そうだと頷く。

「後は…他の貴族の目がある場所でもですかね」
「要するに俺達だけならいいんだ」
「んー、そっか。わかった!」

公私を分けるって事だよな!と誇らしげな表情。
"記憶の知識"があるとはいえ、元々のルシエルという存在は全くのゼロからのスタート。
いわば常に分厚い参考書を片手に知らない問題に答えてるようなものなのだ。
そんな風に一生懸命にがんばるこどもを可愛いと言わずとして何と言う。

「そうだ、偉いぞー!」
「いい子ですねー」
「ちょっ、くるしぃっ!」

感極まって抱きしめに入ったガイ。そして二人まとめて抱きしめるジェイド。じたばたしつつも照れているのか真っ赤なルシエル。

「でもどうせなら兄上じゃなくて父上とか呼んでほしい…」

ぼそりとガイが呟く。

「おや、父上は私でガイは母上ではないのですか?」

にっこりとジェイドが微笑む。ちょっと黒め。

「え、なんでガイが母上?母上っておんなの人だろ」
「それはですね、ガイが「旦那ぁぁぁぁ!!!!」

まだ早い!と何か吹き込みかけたジェイドからこどもを抱きしめたまま離れる。
おやおや、今更恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか。と面白そうに笑うジェイドをガイが睨みつける。
その様子にふむ、と呟くと

「ルシエルは勿論可愛いですが、ガイもやはり可愛いですね」
「いい加減にしてくれ…っ」

照れなくてもいいじゃないですか。照れてない、恥ずかしいだけだ!似たようなものですよ。
交わされる会話。暫くきょとんとしていたルシエルはややあって頷いた。

「つまりジェイドとガイはアッシュとルークみたいなもんなんだな!」
「そういうことですね」
「旦那ぁぁぁぁ…」
「じゃあ、じゃあさ……おれ達、家族なんだな?」

ジェイドとガイが父上と母上で、音譜帯にいるけどルークとアッシュが兄上で。

それはとても嬉しそうで、綺麗で、純粋な笑顔。



――そのこどもは途方にくれていた。
   
「おれ、だれなんだろう」

悲しくて、苦しくて、困っていて?
まだ少しの表現しか出来ないらしく、表情は無そのもので。
本当に途方にくれたこども。
だから我先にと、駆け寄って抱きしめた。

「お前はお前だろっ」

自分でそう言ったじゃないか、と言い聞かせるように。こどもにも、己にも。
少しでも重ねてしまった己が情けなかった。

「誰でも無いならば…」

ぽふり、と撫でる。両手を使って二人まとめて。

「私達の子供になりませんか?」

家族になるんです、と。微笑んだ。

こどもは目を丸くして。
そして、多分、はじめて満面の笑みを浮かべた。
とても、嬉しそうに。




二人揃って固まった。そして沈黙。
その様子にまたきょとんとするルシエル。
ややあってジェイドが口を開いた。

「ガイ、ミドルネームにカーティスを使っていいですか、いいですよね、そうしてください」
「待て、落ち着け旦那、意味がわからないぞ
「いいじゃないですか、貴方は対外的にも身内になれるんですからちょっとくらいねじ込んででもバチは当らないでしょう。仲間はずれは酷いですよ!
「だから落ち着け旦那!!」
「そうだぞ母上、よくわかんないけど父上だけ仲間はずれなんてずるいぞ!」
「早速!?」
「そうですよねルシエル。何、大丈夫ですよ、ルシエル・ガルディオスがルシエル・カーティス・ガルディオスになるだけですから」
「うん別に構わねーし」
「おおおおおい!!!」

「そうだ仲間はずれなんて酷いぞ三人共!俺も仲間に入れてくれ!!」













「あ、陛下だ」
「よぉルシエル、元気か?」
「昨日会ったばかりじゃないですか」
「今は敬語使わなくてもいいぞ?」
「そういうわけにもいかな「ルシエル、今すぐその馬鹿から離れなさい」


その直後、ガルディオス邸から破砕音やら何やらが響き渡ったが事の真相はわからないままだった。

そして翌日、役所には「ルシエル・カーティス・ガルディオス」の戸籍届けが提出され、異例の速さで受理されたという。



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2008/05/24 23:54 | Comments(0) | TrackBack() |

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